特殊相対性理論の基礎 |
とりあえず昔まとめたノートのコピペ
見直してないので変なところもあると思われます。
そのうち見直します・・・ |
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特殊相対性理論は何故必要か? |
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Maxwell の電磁気学によれば真空中の光速度c は一定である。しかし、これが一体何を基準にした速さなのか、それには答えてくれない。ガリレイ変換を思い出せば、光速度c
は慣性系によって異なる値をとることになる。では、光速度がc になる特殊な慣性系(絶対静止系と呼ばれる) は一体どこにあるのだろうか?これの最も有力な候補がエーテルに対して静止している系であった。そこで行われた実験がMichelson-Morley
の実験である。詳細は省略するが、この実験では予想に反し、光速度は方向に依らないという結果が得られた。しかし、この結果に納得する事の出来なかった当時の物理学者たちは様々な仮説を用いて光速度のずれが観測されなかった事を説明しようとした。その代表がLorentz
の収縮仮説である。これは数学的には特殊相対論の導き出す結果と一致する。
しかし、その考え方には大きな隔たりがある。
M-M の実験を含め、様々な現象を説明するために特殊相対論は欠くことのできないものである。しかし、相対論は他の物理理論とはいささか異なる形で産まれる事となった。
Einstein は、説明のつかない現象をどうにか説明するためにこの理論を産み出したのではない。そういう気持ちが全くなかったとは言えないかもしれないが、彼の主要な動機は、自然は美しくあるべきであるという信念によるものであった。 |
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特殊相対性理論の基本原理 |
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ガリレイ変換はガリレイの相対性原理を支持する。これを示す。Newton の運動方程式は |
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と書かれる。ガリレイ変換は |
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で与えられる。まず右辺を変換しよう。 |
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となる。次は力f である。例えば、空間座標x と時刻t の関数である場合、 |
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とすることで形式を不変に保つ事がわかる。変数はなんであろうが関係ない。本当にこれが形式を不変に保っているのか疑問に思うかもしれないが、f とf′
は同じ関数の原点をずらしたものに過ぎないからその形式は不変に保たれている。例えば、フックの法則に従う力は |
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と表すことが出来るが、これにガリレイ変換を施した |
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はガリレイ不変であるはずである。一見すると形式が変わってしまっているように思える。何故ならば、ガリレイ不変ならば |
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と変換されることを期待するからである。しかし、フックの法則に手を加え、 |
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とすれば(x0 = 0) |
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においてvt + x0 ≡ x′0 とすることで |
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と書く事が出来る。これでガリレイ不変である事がわかる。これが上で述べた事の具体例である。
もう一つ具体例を示しておく。速度の大きさの小さい時の空気抵抗は |
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で与えられる。これにガリレイ変換を施すと |
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となる。これも一見するとガリレイ不変でない。しかし、先ほどと同様に |
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とすることで(ω = 0) 形式は不変に保たれる。 |
ついでに、加速度系に対してはガリレイの相対性原理は成立しない事を示しておく。
これは簡単に示せるから具体的な計算は省略する。 |
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と変換するとき、 |
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と、加速度の形式は明らかに不変に保たれない。力に関してはf = f′ とおけるが、上の付加項の解釈が出来ないため、ガリレイの相対性原理を加速度系に拡張する事は出来ない。
では、ここから電磁気理論について考える。例えば、Maxwell 方程式の一つ |
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をガリレイ変換してみよう。z 成分について考えることにし、S′ 系でMaxwell 方程式が成立するとする。 |
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まず第一項から考えよう。 |
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偏微分の際に注意すべき事は例えt = t′ であったとしても |
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である事である(ヤコビアンの計算の際にやりがち)。変数がx, t である時、左辺はx を固定してt で微分することを意味し、右辺はX′ を固定してt′
で微分する事を意味するからである。簡単にいうと、偏微分では分母の変数を安易に入れ替えてはならないということである。
第二項も空間微分なので同様の結果となる。 |
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残りは右辺である。 |
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ヤコビアンは2 つの項しか残らない。 |
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このように、時間微分がガリレイ不変でないため、Maxwell 方程式はガリレイ不変にならない。真空中のMaxwell 方程式を一般の方向にガリレイ変換すると、ヘルツ方程式 |
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が得られる。つまり、当時はエーテルの静止系に対してだけMaxwell 方程式が成立し、そのほかの慣性系にはヘルツ方程式が成立すると考えられていた。Maxwell
方程式を |
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と書けば、Maxwell 方程式もまた、空気抵抗下での質点の運動方程式と同様に相対性原理を満たしているように見える。しかし、そうではない。ヘルツ方程式自体がガリレイ不変ではないからである(空気抵抗下での質点の運動方程式はきちんとガリレイ不変になっている。)。これも問題であるが、これは相対性原理を放棄すれば解決できる。致命的な問題はヘルツ方程式が実験と合わない事である。ヘルツ方程式によると、光速は慣性系によって変化する。しかし、実験結果はそれを支持しない。波動方程式 |
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をガリレイ変換すれば |
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が得られる。これに正弦進行波 |
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を代入してみると |
となる。つまり、光速度がv だけ変化している。しかし、観測によると光速度は変化しない。つまり、Maxwell 方程式はあらゆる系で成立すると考えるのが自然である。これはエーテルが存在しない事を意味する。これから次の基本原理が成立すると考えられる。 |
(1) 光速度不変の原理
この原理一つでM-M の実験結果の解釈の困難は解決する。
Einstein はさらに
(2) 特殊相対性原理
が成立する事を要請した。
Maxwell 方程式を容認するならば(1) は不要である。
あとはこれらの基本原理を用いて古い物理法則を書き換えていくだけである。 |
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Lorentz 変換 |
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Lorentz 変換を最も簡単に導ける方法の概略を示しておく。
もっとも簡単な方法は、ある特殊な時空点について変換性を求め、それが一般の時空点についても成り立つと考える方法である。その特殊な時空点とは光の先端の時空点である。
時刻0 に原点から光を発射したとする。(x, y, z, t) がその光の先端の時空点であるとする。これは |
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を満たす。S′ 系から見た同一時空点(x′, y′, z′, t′) もやはり光の先端の時空点であるから |
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を満たす。(x, y, z, t) と(x′, y′, z′, t′) との間の変換則は |
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(c は4 × 4 の行列) という線形関係に書ける(そうでないと上の条件を満たしえないことはわかるだろう)。あとはこれを代入してやり、係数を比較すれば、2
つの同一時空点の変換則を導く事が出来る。これは最初に述べたように光の先端という特殊な点に対して考えたのだが、一般の点についても用いてよいであろうと期待される。実際、Maxwell方程式はこの変換に対して不変である。一般のLorentz
変換は、 |
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を満たす線形変換として定義される。 |
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