一般相対性理論の基礎
導入です

一般相対性理論は何故必要か?
特殊相対性理論は慣性系に対してのみ、相対性原理を要求した。これを一般の座標に対して拡張しようと思うのは自然な考えであろう。さらに、特殊相対論では重力を扱えないという問題があった(重力をLorentz 不変な形に書くという試みはなされた。そして、Lorentz 不変な形に拡張する事に成功した例もある。しかし、実験とは合わなかった。)。
この問題を解決するのが一般相対性理論である。

一般相対性理論の基本原理
一般相対性理論が要求する原理の一つはいうまでもなく
(1) 一般相対性原理
である。しかし、一般相対性原理には問題がある。何故、ガリレオは慣性系に対しては相対性原理を要求したのに、一般の系に対してはそれをしなかったのか、それを考えればこれがどういう問題だかわかる。これについて考えてみよう。
例えば、宇宙空間にある箱を考えてみよう。この箱を急にロープで引っ張ってみよう。
すると、中にいた人はロープで引っ張った方向とは逆の方向に加速度を感じるだろう。この人には力が働いていないのに加速度が生じたわけである。これはつまり慣性の法則に反する。
このような問題が生じたのは慣性力を実際の力と見なかったためである。つまり、慣性力を実際の力と解釈すれば一般座標系に対しても相対性原理を要求できるだろう。
先の箱の実験をもう一度考えよう。箱の中の人に生じる加速度は人の質量に依らない。
つまり、運動方程式から考えて、この力は慣性質量に比例する形であるはずである。実験によると、慣性質量と重力質量は等しい。これからこの力は重力質量に比例するとも言える。つまり、この力は重力と区別がつかない。このようにしてEinstein は慣性力と重力は本質的に区別がつかないことを原理として掲げた((2) 等
力と重力が区別できないのならば慣性質量・重力質量という区別はもはや意味を成さない。これらは必然的に一致しているのである。
このようにして一般相対性理論の基本原理として

(1) 一般相対性原理

(2) 等価原理

が掲げられる。

何故重力場を空間の曲がりとして解釈できると考えられるのか?
等価原理によれば、重力は自由落下系に移ることによって消す事が出来る。しかし、実は重力は普通、局所的にしか消す事が出来ない(完全に消し去る事が出来るのは一様な重力場のみである)。例えば、自由落下する箱の中心に一つのボールが、そこから横に少しずれた位置にもう一つのボールがあるとしよう。このとき、時間が経つにつれてずれた位置にあるボールがもう一方のボールに近づくであろう。この近づき方は粒子のボールの性質には依らない。
似たようなことが起こる例として、2 つのジェット機が地球上を経線に沿って北極を目指す場合を挙げられる(つまり、ジェット機は測地線にそって移動する)。このときも時間が経つにつれて2 つのジェット機は近づく。これも明らかにジェット機の性質によるものではない。これは地球表面の曲がり具合によるものである。
この類推から、重力場は空間の曲がりとして表現できるかも知れないと考えられる。
さらに、もしかすると自由落下はその曲がった空間の測地線を経路とするのではないだろうか、と考えられる。
そして、実際にその類推は正しい事が明らかになる。
   
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